時間貯蓄銀行については、以前、ブログで言及したことがある。ある日届いた雑誌をめくっていたら、この時間貯蓄銀行を見出しにした記事に出会った。有斐閣が発行する「書斎の窓」である。記事は、中央大学名誉教授 中村達也氏によるものである。
その記事は、二つの「貯蓄銀行」と題し、一つは日本におけるもの、もう一つはドイツおけるものについて言及している。ただ、ミヒャエル•エンデの「モモ」が日本でよく読まれた理由と「モモ」のあらすじを記事の導入としている。
氏は、断定はしないものの「戦後日本の経済成長は、実は、「時間貯蓄銀行」に預けられた自由時間を代償にして実現されたのかもいれない」と述べる。 記事の最後の方で、氏は、ドイツおける「時間貯蓄銀行」について述べる。
驚いたことに、ドイツでは、時間貯蓄銀行がすでに稼働しているというのである。一つの例として、「所定労働時間を超えて労働した場合は、その超過労働時間分がボイントとして」「労働時間貯蓄口座」に貯蓄され、そのポイントは一定の期間において、有給休暇として利用したり、手当やボーナスの形で支給される」という。
氏の記述とエンデか「モモ」という物語で言わんとしたことの間にはギャップがあるように私は思う。違和感を感じるのである。 その私が感じる違和感は、どこから来るのか。
ドイツの例でいえば、その一つとして、時間を貯蓄しているのではなく、貯蓄した労働時間を有給休暇と交換できるとすることにとどまるのであり、エンデが「モモ」で語った、貯蓄した「時間」に「利子」が付くのかという点については、語られてはいないからである。
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