南海トラフ地震の想定が県の防災会議から出され、各市町村は個別の検討に入る。
わたしは、河田惠昭著「津波災害ー減災社会を築く」岩波新書のなかから、目を引いた箇所の一部を抜き書きしたいと思う。この本は東日本大震災の直前とも言える2010年12月17日に第一刷が出されたが、私が驚くほどその大震災のことも視野に入れた考察が為されている。
新聞記事などでは何人の死亡者が予想されるという記述が見出しに踊る。そして記事の中身を読むと「地域の特性を考慮したさらに詳しい想定や減災対策が進んだ際に被害が軽減できる割合などを盛り込んだ最終報告をまとめ、県の地域防災計画に反映させる。」という。
果たしてわたしたちは津波のことをどれほど知っているだろうか。自助にしても共助、公助、産助にしても津波そのものに対する知識が不可欠であることは理解されることだろうと思う。
では、津波の高さが2メートルとはどのようなことを意味するのか、2メートルだったらどのような被害が予想されるのか、わたしたちは具体的に語ることができるだろうか。過去に起こった津波被害から教訓を引き出し地域単位での共通の知恵を獲得しているといえるだろうか。 「・・・そして、頻繁に避難訓練を繰り返すのである。
知識が行動に結びつくには、行動を起こすことに対する意識上の障壁を低くすることが大切である。阪神・淡路大震災の最も重要な教訓の一つは「災害時には日ごろからやり慣れていることしかできない」ということである。
言い換えれば、日頃やっていないことは失敗する」ということである。これは広義の「備える」ということである。」「津波災害ー減災社会を築く」165ページ
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