1 愛知県の「建設業の手引」申請手続編平成29年4月(以下、「手引」という。)の5ページ下から14行目から次のように記載されている。
1の2 「また、電気工事及び消防施設工事のうち、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事に直接従事した経験については、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付 を受けた者等として従事した実務の経験に限り経験期間に算入することができ、建設工事に係る資材の再 資源化等に関する法律(平成 12 年法律第 104 号。以下「建設リサイクル法」という)施行後の解体工事 に係る経験は、とび・土工工事業許可又は建設リサイクル法に基づく解体工事業登録で請け負ったものに 限り経験期間に算入することができます。」
2 上記1の下線部は、建設業の別表に解体工事業が加わるより前の手引にはなかった記述であり、平成28年6月から手引に書き加えられた記述である。国土交通省は「解体工事登録に伴って新たに挿入された文言であるため、もともと規制されていたものについて書いたものであるため、新たに規制されたものであるとは考えておりません」とするが、もともと規制されていたものであるなら、建設リサイクル法が施行されたとき(平成12年11月30日)に上記1の記載がされていなければならない。
3 そうでなければ、解体工事業での建設業許可申請を新たにしようとする者に対しては「不意打ち」になると考えられる。また、上記1のように「電気工事士免状、消防設備士免状等の交付 を受けた者等として従事した実務の経験に限り経験期間に算入することができ」とあるので、反対解釈すれば、当該免状を有しないでした経験については、これを専任技術者の実務経験としては認められない、となる。同じくもともと規制されていたものなら、前の手引同様に、解体工事についても記載されてしかるべきである。
4 そのようにしなかったのは、しかるべき理由があったのである。つまり、電気工事や消防設備の工事は、その工事に携わるもの自身が免状を有していなければ工事に携わることができない種類の免状であって、建設リサイクル法に基づく解体工事業登録とはその性質を異にする。つまり、現場で解体工事をする者は必ずしも解体工事の登録が必要とされるわけではない。解体工事をする事業者が解体工事登録をしていれば現場で解体工事をする者が「免状」を有している必要はないのである。
5 たまたま、解体工事登録をしていなかった事業者の下で解体工事をしていた者が、新規に解体工事で建設業許可を取得しようとした場合であって、その申請をしようとする者については、当該解体工事の実務経験は、建設業許可の基準である専任技術者としての実務経験としては認められないとの、「手引」の記載はおかしいのではないかと私は考える。
6 よって、ここで議論の的になっている記載は平成28年5月31日以前の解体工事の経験については、これを新規で解体工事業での建設業許可申請における専任技術者の実務経験とし認めるべきである。
7 同じ手引の同じページには、「「実務の経験」とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいい、ただ単に建設工事の 雑務のみの経験年数は含みませんが、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事し、又は現 場監督技術者として監督に従事した経験、土工及びその見習いに従事した経験等も含めて取り扱います。 また、実務の経験の期間は、具体的に建設工事に携わった実務の経験で、当該建設工事に係る経験期間 を積み上げ合計して得た期間です。」と記載されている。この記述に対し、上記1の2が例外として記載されている。
8 例外としながらも、電気工事や消防設備の実務経験について建設業許可の実務経験として認めないとしたのは、法令の条文としては記されていないが、電気工事や消防設備の実務が技術的に高度なもので、当該工事の発注者を保護するという目的があるように推測される。一方。解体工事業について、そこまで、する必要がある名だろうか。建設業法と建設リサイクル法は、それぞれその目的を異にする。
9 この記事は、あくまで私自身の個人的な意見であるので、この点、ご承知願いたい。
0コメント